スポーツのスピードを生む筋力の考え方
1. 導入
アスリートにとって、スピードの向上は永遠のテーマです。
今回は、スピードがどのようなメカニズムで生まれるのか、そして筋力トレーニングによって得られる恩恵について、会話形式でわかりやすく解説します。
2. 解説(会話形式)
徳丸トレーナー!スポーツで「もっと速く動けるようになりたい!」って思うんだけど、どうしたら速くなれるの?
いい質問だね。多くのスポーツでは、瞬発力がとても大事なんだ。
しゅんぱつりょく……?なんか強そうな言葉!
そうだね。瞬発力というのは、簡単に言うと、一瞬で大きな力を出す力のことだよ。 「ダッ!」と走り出したり、「バン!」とジャンプしたり、「ドン!」とボールを蹴ったりする力だね。
なるほど!一瞬でパワーを出す力なんだ!
その通り。多くのスポーツでは、この瞬発力が競技成績を大きく左右するんだ。 自分の体を速く動かしたり、ボールやバットのような道具に大きなスピードを生み出したりするために、とても大切な能力なんだよ。
たとえば、どんなスポーツで使うの?
たとえば、陸上の100m走。 スタートしてから短い時間で、できるだけ速くゴールに着く必要があるよね。
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うん!足が速い人が勝つ!
そうだね。だから100m走では、瞬発力がタイム短縮につながるんだ。
ほかには?
バレーボールでは、スパイクを打つときに高くジャンプする必要があるよね。 相手のブロックよりも高いところから打てると、攻撃しやすくなる。
高くジャンプできたら、上からズバーン!って打てるもんね!
そうそう。さらにサッカーでは、ボールを強く蹴るときにも瞬発力が関係しているよ。
ボールを強く蹴るのも?
うん。軸足で地面を強く踏み込んで、蹴り足を素早く振り抜くことで、ボールのスピードが上がるんだ。 ボールが速くなれば、キーパーが反応する時間も短くなる。
そっか!キーパーが「えっ!?」ってなるくらい速いボールになるんだ!
まさにそうだね。
でも、走るのとジャンプするのとボールを蹴るのって、ぜんぜん違う動きに見えるよ?
見た目は違うけど、実は共通している流れがあるんだ。
共通している流れ?
まず、筋肉が素早くギュッと縮む。 次に、その筋肉の動きで関節が動く。 そして、足で地面を押したり、ボールやバットに力を伝えたりする。 最後に、自分の体やボールが加速するんだ。
えっと……筋肉がギュッとして、関節が動いて、地面とかボールに力が伝わって、ビューンって速くなる?
完璧だね。そのイメージで大丈夫。
やった!
この仕組みは、物理学のニュートンの運動方程式で説明できるんだ。
ニュートン……?りんごの人?
そう、そのニュートンだね。ここで特に大事なのが、加速度の法則なんだ。
かそくど……?
加速度というのは、簡単に言うと、どれくらい速くスピードが上がるかということだよ。 止まっているものが、どれだけ早く「ビューン!」と速くなるか、というイメージだね。
なるほど!最初から速いんじゃなくて、どれだけ早く速くなるかってこと?
その通り。そして、この関係はこういう式で表せるよ。 F = ma(力 = 質量 × 加速度)
うわっ、式が出てきた!ちょっとむずかしそう!
大丈夫。すごく簡単に言うと、大きな力を出せるほど、体やボールを速く動かしやすくなるということだよ。
あっ、それならわかる!
たとえば、ボールを弱く押したら、ボールはゆっくり転がるよね。
うん。コロコロ〜って感じ。
でも、強く押したら?
ビュン!って速く転がる!
そう。それと同じで、自分の体やボールに対して、より大きな力を加えるほど、加速度が大きくなって、結果としてスピードが上がるんだ。
じゃあ、速く走ったり、強く蹴ったりするには、大きな力が必要なんだね!
その通り。 ダッシュ、切り返し、ジャンプ、シュート、打撃など、ほとんどの瞬発的な動きでは、短い時間の中で、どれだけ大きな力を出せるかが大事なんだ。
短い時間で大きな力……。つまり、一瞬で「ドン!」って力を出すってこと?
そうだね。そして、その力を生み出すもとになるのが筋力なんだ。
筋力って、筋肉が大きい人が強いってこと?
それも大事だけど、それだけではないんだ。 筋力は、神経機能と筋量の両方で決まるよ。
しんけいきのう……?またむずかしい言葉が出てきた!
簡単に言うと、神経機能は、脳から筋肉への命令の上手さだね。
脳が「動けー!」って筋肉に言う感じ?
そうそう。脳や神経が筋肉にうまく命令できると、筋肉は力を出しやすくなる。 そして筋量は、筋肉そのものの大きさのことだよ。
つまり、筋肉の大きさと、筋肉への命令の上手さが大事なんだ!
その通り。特にトレーニング初心者から中級者の場合は、基本的なウエイトトレーニングを続けることで、この両方を効率よく高めることができるんだ。
基本的なウエイトトレーニングって、どんなやつ?
たとえば、スクワット、デッドリフト、ベンチプレスなどだね。
聞いたことある!重いものを持ち上げるトレーニングだ!
そうだね。こうしたトレーニングを継続することで、神経の働きもよくなり、筋肉も増えやすくなる。 初心者から中級者の段階では、体格の変化として成果を実感しやすいんだ。
体が変わってくると、ちょっと楽しくなりそう!
そうだね。成長を感じやすい時期だからこそ、基本をしっかり続けることが大切なんだ。
じゃあ、一番大事なポイントって何?
一番大事なのは、筋力は「力の最大値」、つまりポテンシャルを決めるということだよ。
ポテンシャル?
簡単に言うと、どれくらい大きな力を出せる可能性があるかということだね。
力の上限みたいな感じ?
そう、そのイメージでいいよ。 たとえば、持っている力の上限が100の人と、130の人がいたとするよね。
うん。
どちらも同じくらい上手に力を使えたら、上限が130ある人の方が、大きな力を出せる可能性が高いんだ。
なるほど!もともとの力のタンクが大きい方が有利なんだ!
いい表現だね。まさに、力のタンクを大きくするイメージだよ。
でも、ジャンプの練習とか、速く動く練習も大事なんでしょ?
もちろん大事だよ。 クリーン、プライオメトリクス、ジャンプ系などのパワートレーニングは非常に重要なんだ。
じゃあ、それだけやればいいの?
そこが大事なところだね。 パワートレーニングは、今持っている筋力を100%発揮できるようにするトレーニングなんだ。
今ある力を、ちゃんと使えるようにする練習?
そうだね。 でも、土台となる筋力が100のままだと、どれだけ上手に力を使えるようになっても、いつか頭打ちになりやすい。
頭打ちって、伸びにくくなるってこと?
そう。たとえば、重量がなかなか上がらない、高く飛べない、ボールスピードが伸び悩む、ということが起きやすくなる。
じゃあ、まず力のタンクを大きくした方がいいんだね!
その通り。理想的な流れは、まずウエイトトレーニングで筋力を110、120、130……と底上げしていくこと。
力のタンクを大きくしていく!
そう。そして次に、パワートレーニングで、その力を瞬発的に発揮できるようにしていくんだ。
つまり、まず筋力を増やして、そのあとに「すばやく使う練習」をするってこと?
その理解でばっちりだよ。
初心者の場合は、どっちを先にやるのがおすすめ?
特にトレーニング初心者の場合は、ウエイトトレーニングを優先的に行うことをおすすめするよ。
ジャンプの練習とかよりも?
ジャンプ系の練習も悪くないけれど、まずは筋力の基盤を固めることが大切だね。 筋力の土台ができてからパワートレーニングを本格的に行った方が、長期的に見て大きな恩恵を受けやすいんだ。
まずは土台づくり!家を建てるときの基礎みたいな感じ?
まさにその通り。しっかりした土台があるから、その上に高い建物を建てられる。 スポーツのスピードやパワーも同じで、まずは筋力という土台を作ることが大切なんだ。
わかった!速く走るにも、高く跳ぶにも、強く蹴るにも、まずは筋力が大事なんだね!
その通り。スピードを生み出すためには力が必要で、その力の土台になるのが筋力なんだよ。
3. まとめ
自分の動きや道具のスピードを決める大きな要素は力です。
その力を根本から高めるために、まずは筋力を鍛えることが効果的です。具体的なトレーニング種目やフォームのポイントは、別記事のトレーニング紹介で詳しく解説します。
今日のポイント
- 瞬発力は一瞬で大きな力を出す能力
- 大きな力を出せるほど体やボールを加速させやすい
- 初心者から中級者は筋力の土台作りを優先する
4. 参考文献
- 平山邦明『アスレティックパフォーマンス向上のためのトレーニングとリカバリーの科学的基礎』